広告批評

マツダデミオのTVCM、その遍歴を追う。戸田恵梨香超えのTVCMはあるか?

車のTVCMはまたその制作予算、媒体予算ともにずば抜けていることから、創意工夫された様々なパターンのTVCMがザクザクでてくる産業であります。そして、そのTVCMの流れを追っていると、自動車業界はこういう風に世の中を捉えているのか、と参考になることも。この記事では、2000年以降の主要なマツダ・デミオのTVCMを集め、考察してみました。

2002年、見覚えあるひとも多いのでは。外国人子役の男の子が主役

キャッチコピーは、「新しいマツダデミオは、ロードスターのハンドリングと、オープンの気持ちよさを受け継いだ。」ということで、コンパクトなデザインながらパワフルであることが謳われています。

ちょっと結論に近いことを言いますが、実はマツダ・デミオのTVCMは、時代に寄ってコロコロ変わってるんですよね。変わらないのは、コンパクトな車だ、ということ。

コンパクトな車を探している人が一定いるということを定め、マツダ・デミオはずっとコンパクトカーのセグメントで戦い、そのなかで、常にその時代その時代にあった「コンパクトカーが一番売れそうな訴求」をしているのです。

それでは、これ以降コロコロ変わるマツダ・デミオのTVCMをご覧ください。

2007年、田中美保&玉木宏で低燃費訴求

「100kg軽くした。スタイルがスリムになった。」というキャッチコピー。

当時主流だった低燃費競争&単身女性者へのリーチで市場をリードしたいマツダ・デミオの作戦が垣間見えます。

これまで外国人起用が多かったマツダ・デミオにおいて、結構オーソドックスかつ必勝パターン的なキャスティングをしてきたのが、このあたりの時代ですね。

2008年-2009年、戸田恵梨香がダンスを踊るインパクトあるTVCM

このTVCM覚えているひと多いのではないでしょうか。当時若手女優として地位を築いた戸田恵梨香がラテンダンスを踊っていてインパクト十分なTVCMでした。

決めセリフは、「もう、私が止まらない」。
そこに控えめに「NEW コンパクトデザイン」「環境コンパクト」という少しばかりの訴求が交じる形となっています。

私個人的には結構謎だなーと思うTVCMなのですが、印象に残っているという人も多いのがこのTVCM。思うに、スタイリッシュさや新色の元気さを表現するために、戸田恵梨香がラテンダンスを踊っていると思うのですが、逆に言うと訴求することが何もなかったのなか?とも思いました。

ただ、TVCMは時にただ賑やかな雰囲気で接触することがマーケティングの成果につながることもあると思うので、当時これがプレゼンを通過し放送されていた意義を考えるわけですね。

別パターンの戸田恵梨香主演のTVCMでは、「デミオに乗っているひとは、自転車にもよく乗る。」という訴求となっており、これまで機能性重視だったマツダ・デミオが、一旦ここでライフスタイル訴求に打って出ようとしたのかな、という予測はできました。

2012年、控えめなトーンのCMに

2012年になると、「世界標準の走りとエコを。SKYACTIV TECHNOLOGY」というキャッチコピーに変わり、環境やエコの訴求はこれまであったものの、突き刺さる訴求というよりかは控えめなCMになった印象です。

ちょっとキャスティングが誰なのか、女優の名前がわからなかったのですが、2008年には戸田恵梨香にラテンダンスを踊らせておきながらこの変化ですよ。同じ商品と思えないダイナミズムがあります。

穿った見方をすれば、震災を挟んでの消費者の意識の変化というものがあったのか、社会性のあるもの・社会的意義のあるものにお金を払おうというマインドになっていたのかも。このエコ路線は引き続き2014年のTVCMにも引き継がれます。

2014年、外国人を起用しクリーンディーゼルを訴求

2014年のマツダ・デミオのTVCMのキャッチコピーは「クリーンディーゼル×マツダデザイン」でした。キャスティングはほぼアノニマスなイメージになってくる、特に有名ではない外国人。

2012年のエコ路線そのままに「クリーンディーゼル」という言葉を用いてますが、これ結構詳しい人向け用語だと思うんですよね。ちょっと前まで田中美保、戸田恵梨香を起用して、低燃費&ライフスタイル訴求で女性客をターゲットにしていたようなブランドだったのが、どちらかというとプロ向けというか。コンパクトカーを探してて厳しい排ガス規制をクリアしてる車、を探してる人にはヒットするかもしれないですが、つまりはそういうある意味究極のカテゴリ戦略とでもいうのでしょうか。

2017年、引き続き機能性重視のTVCM

さて最近のTVCMはどのようなものでしょうか。引き続き外国人女性を起用し「小さなクルマでも 安全性能に差をつけない」というキャッチコピーが付けられています。

2012年、2014年にはエコやクリーンディーゼルを打ち出していたのですが、2017年には「安全性」を訴求しています。軸がぶれぶれじゃん!と思うなかれ、実は綺麗に一本の線につながっており、コアな部分は失われていないと考えられます。

どういうことかというと、冒頭でも申したとおり、マツダ・デミオは「コンパクトカー」を軸にしながらその時代その時代にあった訴求方法を工夫してきたブランドです。そのため2017年になると、競合の自動車会社からは少しずつ自動運転による安全運転アシストの広告が増えてきたので、マツダ・デミオもしっかりその点を抑えにいってるわけですね。

いうなれば、マツダ・デミオは、「サイズはiPhoneSEなんだけど、バッテリーの持ちはiPhoneXくらいの実力があります」と、こういうことはずっと言い続けているわけです。
確かに戸田恵梨香のラテンダンスのTVCMでそれが伝わっているのか、というと、ちょっとひねりすぎたんじゃないかな…?と思わなくもないのですが、とにかくそういう視点を見つけてみることで、世にこのTVCMを送り出した人々の思惑などを考察してみたりするのでした。

TVCMからマーケティングを学ぼう!

この記事では、マツダ・デミオのTVCMについて考察しました。世にあふれる広告は、最良のマーケティング教材です。CareerWalkerでは他にも広告レビューをしているので、参考にしてくださいね。
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